池大雅に魅せられて

九霞山樵大雅(1723~1776)は私の好きな芸術家です。犬養木堂のように「大雅が出てきて日本の書は崩れた」と言う人もいますが、私は風格ある魅力を感じます。

20代の頃、京都苔寺近くの美術館で大雅を見て、何故か 長く頭から離れませんでした。何度か臨書という形で挑戦して見たのですが、似ても似つかない駄作に終わってしまいます。

若い頃の近藤摂南先生が 大雅風の傑作を残しておられますが、凡人には 真似

できない奥深さを秘しているように思います。

書画ともに優れた芸術家は NO36のHPで紹介した雪舟(1420~1506)

や、大雅29歳の時、参禅して教えを乞うた白隠禅師(1685~1768)ぐらいしか知りませんが、書画両方に通ずることで、見えてくるものがあります。

上から 安分守己

分に安じて己れを守る

天下泰平

天下がよく治まって平和なこと


不易流行

世の中には変わってはいけないもの

変わらなければいけないものがある

(芭蕉)

心地光明

私意を持たず光明正大な心


質実剛健

飾り気なくたくましい


吉日良辰

良い日、良い時

 


連休中、頼まれた揮毫を準備するにあたり、池大雅(いけのたいが)を書架から

出してきて、勉強しました。構成とか筆線と言った今まで培ってきた常識は通用しません。基本的には1枚、多くて2枚の揮毫を試みました。それが一番、大雅への近道だと思うからです。

  2015年9月23日(水) 秋分 旧暦 葉月 8月11日 NO45