
今回の「溪水書展」の整理をしていたら
25年前の私の小説が出て来ました。
ペンネーム「いしみずけい」、内容も
執筆した様子も忘れていました。
1991年 51歳。書道の世界では何
を書いても、面白く楽しい時でした。
私が所属していた会は 毎年テーマを決めて 大規模な書展を開催し注目を 集めていました。私は日展など公募展の創作より
このテーマ展が好きでした。「夏目漱石」「良寛」に続いて「原始性・素朴な世界の古意を探ねよ」と言う出題に対して、白川靜の「甲骨文字」を想起、自分が
パイオニアと言う意味の「我より古(いにしえ)と作(な)す」(自我作古)を語句に選びました。
故郷に戻ってすぐ、地元の同人誌に入会。書だけでは表せない想いを 文章の
世界に求めたのです。ちょうどその時、「自我作古」の意味を掘り下げて見ようと考えつきました。
同名の小説「自我作古」は書に対する理想を 主人公の画家「藤太」の成長に
重ねて描いたもの。尊敬する芸術家の考え方や仕事を中心に据え、「私もこんな
生き方がしてみたい」願望を小説にしたのです。
25年の歳月を 振り返ってみると 藤太に見守られて生き、あるいは 傍流に
流されぬよう箍(たが)をはめられた意味があったようです。
他に7~8偏の短編が出て来ましたが、いずれも私の幼少の頃の炭焼きなど自然
の中で育った体験が書業に影響していると 改めて感じました。
2016年6月5日(日)芒種 旧暦 5月朔日 NO63
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