
「惻隠の情」は武士道精神の一つ。
孟子も「惻隠之心 仁之端也」(他に対して哀れみ、いたむ心は 人として最高の徳である)と
言っています。
3月3日 石原慎太郎元東京都知事の記者会見を
視て悲しくなりました。弟の裕次郎と共に石原兄弟は私達の世代の憧れのヒーロー。慎太郎氏の「太陽の季節」は日本人の性のモラルを一変させる事件だったし、政界に転身してからも「青嵐会」の仲間と当時の権力者に 立ち向かう姿は恰好良かった。
しかし、記者会見で「豊洲市場への移転を決めた責任はあるが、行政、議会みんなで決めたのだから、私一人の責任ではない」と言ったのです。
かってのヒーローの言葉とは思えませんでした。
私は難問題は 自分で考えるようにしています。その基となるのは多くの作家の著書です。その中には石原慎太郎氏の本もありました。
記者会見での無責任ともとれる発言に驚き、うろたえました。足元の一画が崩れるような怖さを感じました。石原氏の思想の一端が 私の心の中にあるからでしょう。
私達日本人には 昔から備わった道徳があります。その中に卑怯なこと、恥ずかしい事をするなと教えられてきたように思います。その元になるのが「武士道精神」です。
「武士道」は新渡戸稲造(1862~1933)が明治32年に著したもので、日本人の魂を西洋人に理解して貰おうと出版したものです。
慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、名誉、恥、惻隠(敗者・劣者・弱者への思いやり)を精神の真ん中に置いて 行動や判断をすること。この本は発売されるや、世界中に広まり、日本への理解が深まったそうです。
この話しは「武士道精神の復活」を説く藤原正彦著「国家の品格」(2006年に出版されてベストセラーになる)の中に紹介されています。
私達は何かにすがって、信じる道を生きる者です。ヒーローの失墜にがっかり
せず、古代から伝わる日本の心に 礎を置いて生きたいと思います。
2017年3月5日(日) 啓蟄 旧暦 2月8日 NO81
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ひろみ (水曜日, 15 3月 2017 22:23)
墨をするとき いつも本を手にされていた松井さんのお姿
思い出します。
きさらぎ (月曜日, 20 3月 2017 14:50)
武士道精神を礎にして生きる。同感です。