
私の住む地域では 今朝から「初盆参り」で多くの人が 村の家々を行き交っています。
四十九日法要が済んだ後、始めて迎えるお盆
(はつぼん・にいぼん・あらぼん・しんぼん)
は精霊を迎えるための盆棚が飾られ、私達は
その家を訪ねて「お淋しい事ですが、精一杯
ご供養してあげてください」と、口上を述べて
回ります。お盆とは「盂蘭盆」<サンスクリット語のウランバナ>。お釈迦さまの弟子・目連尊者が餓鬼の世界で苦しんでいる母親の為に 布施や供養を施したのが始まりと言います。
お盆と言うと忘れられないのは33年前の「御巣鷹山の日航機墜落事故」です。
テレビの一報は「1985年(昭和60年)8月12日 18時東京発伊丹行き
123便が レーダーから消えました」でした。それから連日、報道が続きました。歌手の坂本九さんも犠牲者の一人でしたが、私はお盆の休み中、テレビの前に釘づけになって画面を見ていました。しかし、30年以上たっても「河口博次さんの手帳の遺書」は忘れられません。
賢明で美しかった5人の家族の運命が 一瞬にして変わったことが、小さな手帳
7ページに凝縮されています。私は究極の「慈愛のメッセージ」だと思います。
回りながら落ちてい僅かな時間の中で、大学4年生の息子さんには 母や姉妹の
ことを頼み、奥さんには子供たちのことを頼み、本当に幸せな人生だったと感謝し、墜落していく状況まで書いておられます。冷静にして簡潔、文字の乱れが見られません。まだ52歳と若いのに 沈着に対応された河口さんの精神力に 私がその齢になって、その真似が出来るだろうか。「人間の格とは?」と長い間
考えていました。私は河口さんの遺品の手帳が 新聞に載ったとき、切り抜いて大切に持っていましたが、10年を経て作品化を試みました。1996年、社中の「96’自然とともに松溪塾展・手紙展」<於県総合文化センター>に出品したのです。
2017年8月7日(月) 立秋 旧暦 6月16日 NO91
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