私はロゴで鍛えられた

ある日、前にとまっていた車の荷台の箱に 懐かしい文字がありました。「僕の書いた字ではないか?」 帰宅して調べて見たら まさに私の書いたものでした。

1998年から5年間ほどの間に、地元広告会社の社長に頼まれてロゴタイプ(LOGOTYPE)を無数かきました。最初は公募展にだすような字を書いて持って行ったのですが拒否される。注文主の要求を想像して書くようにと注文を付けられて、筆技を超えた工夫を求められました。若いデザイナーの要求に反発しながら、それでも次第にロゴの面白さと魅力に取り付かれていったのです。

文字に使う材料は楷書・行書・隷書・篆書・金石文・甲骨文・幼児の書いた仮名文字など多岐にわたりました。商品に仕上げるデザイナーの技術に触発されて「次はもっと良い物を」と、藤の蔓やススキを加工した筆を駆使して書きました。

 

私の書いたロゴを一覧表にして見ると 古典の匂いが濃厚です。古典から脱却をはかろうと努力するのですが、勉強してきた痕跡は消せません。自分の書を確立するためには まだまだ精進が必要です。

 

  2018年6月21日(木) 夏至 旧暦 5月8日  NO112