「枠の中で乾坤を書き得たら 各人の脳裏のひらめきと悟入の境を表し得たら」この言葉は約30年前の文芸春秋のコラム「心のシリーズ」に各界の著名人が
リレー随想の形で掲載された中で、古谷蒼韻先生が書かれた文章です。
私は半紙にこの言葉を書き留めて 仕事場の壁に貼って金言としていました。
「書を書く私達は 用紙の中に乾坤(天地)を書く事ができたら、脳裏にひらめいた事と悟入(悟り)の境を表すことが出来たら」。蒼韻先生六十代の頃の発言です。メモから起こし、扁額にして仕事場に掲げることにしました。
戦後1950年代、森田子龍や井上有一らが「墨人会」を立ち上げて、世界に躍り出た頃が 一番華やかで真の書を追い求めていた時代でした。1960年代に入って「公募展」が盛んになり、世に言う「書道ブーム」が起こります。
それから半世紀 徐々に書の勢いは衰えていきました。書の値打ちはそれぞれの書人が 一生懸命生きて悟った事を、後世に書いて伝える事に意義があると思うのです。
2018年9月23日(日) 秋分 旧暦 8月14日 NO118
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