殷の鑑は遠からず夏后の世にあり

私は不遇な時代に数多くの本を読みました。何かに縋りたかったのでしょう。陳舜臣の「小説十八史略」や司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を夢中になって読みました。

右の作品は「殷の鑑(いんのかがみ)は遠からず(殷が滅ぼした)夏后の世にあり」。この詩は孔子が編集した「詩経・大雅篇」の中にありますが、殷帝国の紂王(ちゅうおう)の末路を見て己が滅ぼした夏の桀王(けつおう)に学べばよかったのに、と言っているのです。

中国五千年の歴史は 夏・殷・周・秦・漢・・・・等の王朝の興亡が文字として残っています。国は興るべくして起こり、亡ぶ理由があって滅亡しています。このパターンは不文律にどの王朝にも当てはまります。

栄華を誇った帝国も長年続くと綻びが出る。幸運な人生を送っていた人も 謙虚さを失い傲慢になると、必ず没落してしまいます。国も人間も同じなのです。

 

この作品は1992年の日展出品作ですが、今年3月10日 竣工式が行われる川崎小学校に寄贈させていただきました。

 

  2019年3月6日(水)啓蟄 旧暦 1月30日  NO129