殺傷事件と自然に還ると言う考え方

今から17年前のことですが、亀山市文化会館で五木寛之さんの講演を聞きました。テーマは「溜息・弱音・愚痴が生命を支える」でした。

箇条書きにして メモしたものが出てきました。それを詩の形にして書いたのが上の作品です。この中に現代人が忘れている大切なことが含まれています。

戦後、高度成長期に入って日本人は 早く、強く、明るく、効率良く生きることが良い事で のろまで弱く、暗い人間は悪い事と言う区分けが 定着したように思います。私が今の時代に 子供だったら、後者の中に入ると思います。それが無事に生き永らえたのは、70年前には多様な価値観が残されていたし、ゆっくりやれば出来る事が 許される寛容な時代でした。

1987年、当時の世相を危惧した谷川俊太郎さんが書いた詩「こんなに急いでいいのだろうか」を日展に出品し、その作品を地元中学校に飾って貰ってありますが、30年前は 余り反応はありませんでした。

現在、私の住む田舎でも 床の間や縁側の無駄なスペースを無くした新住宅が流行し、樹齢百年以上の樹木も切り倒してしまう。目に見えない漂う空気みたいな物の大切さや 土や自然から人間は遠ざかっているように思います。

 

人間は 自然から離れては生きられないのです。都会で疲れた人々が森林浴で癒されたと言う話は よく聞くことです。2022年秋 愛知県長久手市の愛・地球博記念公園に「ジブリパーク」が開業されます。宮崎駿さんが「子ども達は五感で世界を知る機会が失われている」と忠告したことが底流にあるようですが、

自然の中で遊ぶ環境が整えば「壊れた人間性」が少しは改善されるのではないでしょうか。

2019年(令和元年)6月6日(木)芒種 旧暦5月4日  NO135