中島司有先生のこと

久しぶりに頼まれて賞状の原稿を書きました。右の写真は 印刷所から刷り上がって来たものですが、何故もっと整ったカタチにならないのかと、歯がゆくなります。

最近は ワープロ文字の賞状や筆で書かれていても乱暴な賞状がありますが、せめて、私のところに廻って来た分だけでも、誠実に全力で書こうと思っています。

私の師 栗原先生は「公募展の作品も大事だが、表札や賞状の揮毫も出来ないといけない」と言われ、太い筆にたっぷり墨をつけて 表札を書いておられました。いつか そんな字を書いて見たいと夢みています。

私が細字を書くとき、目標にする人がいます。

中島司有先生(1924~2002)です。小学2年生の時、栄田有宏先生に師事。後に姉と結婚して義兄になる人です。左利きの超不器用な少年でしたが、NHKアナウンサーやプロデューサーを経て退職。その後、宮内庁文書専門員になって 天皇 皇后両陛下のご親書の揮毫をする祐筆になります。その頃に書かれた賞状の写真を見て、技術と品格の高さに圧倒されました。

司有先生の勉強方法を繙いて見ると、私達がやって来た情緒的、感覚的な練習法とは根本的に違います。

紙面を九等分に仕切って練習する「九宮格」(きゅうきゅうかく)と言う学書法で、起筆は何処から終筆は何処まで点は何処に打つと言う風に、正確に写し取る方法です。

はがき大の絵をベニヤのような大きなものに 拡大する時に使う手法です。

漢字の本場、中国では 透き写しや平面幾何の作図法のような理づめの学習法で成果を上げているようですが、我が国の書法は何年習っても 実用的な書が書けません。勉強方法を問い直す時にきています。

 

 2019年(令和元年)6月22日(土)夏至 旧暦5月20日 NO136