今日8日から大相撲が始まりました。力士の立ち合い前の「仕切り」を見ていると、観客へのサービスだと思うのですが、パフォーマンスが多すぎるのです。
身体や顔をはたいて闘志を表す人。相手の急所や弱い所を観察して、勝負する静かな闘志を秘めている人。私が大相撲を大好きだった時代の 栃錦、若乃花、大鵬、千代の富士、貴乃花は立ち合いの一瞬に全エネルギーを注入する静かな力士でした。そういう力士は無駄な動きをしない。
大相撲の醍醐味を味わった幸せな時代でした。勝てば良いと言う最近の相撲とは格段の差です。
古来、日本には「道」と名のつく文化があります。柔道、弓道、角道、剣道等スポーツの世界、茶道、華道、書道等アートの世界。これら皆、精神的な要素が入っています。精神的集中力の深浅が結果に出るものです。太陽をレンズを通して一点に集め、紙を焦がすように エネルギーを一極に集めて力を出す。「道」に関わる人達は 皆そんな稽古を普段からやっているように思います。
創作の時、私は稽古をしません。二枚書いても出来ない場合、その語句やテーマは諦めて、仕切り直しをするか、日を改めます。日展に出品していた頃は何百枚と書いたこともありますが、筆技の修練と割り切っていました。
エネルギーを一極集中する。ピンポイントで急所を突く。核心を衝く。これに合う言葉を探すうち、上に掲げた「一処懸命」に行き着きました。「処」は「所」の変え字です。
「一所懸命」(賜った一か所の領地を生命にかけて生活の頼みとすること)
(物事を命がけですること、必死)
「一生懸命」(一所懸命の転) 広辞苑より
2019年(令和元年)9月8日(日)白露 旧暦8月10日 NO141
コメントをお書きください