名古屋日展を観て

絵画の観賞が楽しみで日展を観るのですが、どうしても半世紀前の作品と較べて、物足りなさを感じています。加山又造などのスター作家がいないせいだと思います。

書も同様、私が憧れの目で見ていた頃の作家は 赤羽雲庭、小坂奇石、西川寧、松井如流、

手島右卿、今井凌雪、日比野五鳳、小林斗盦、古谷蒼韻、山内観、戸田提山先生など綺羅星の如く作品が並んでいました。

後輩の私達はそれを目標にしたし、当時の出品者もお互いに切磋琢磨して、恥ずかしい作品は出せなかったから、作品の質が上がったと思います。ところが、現代は心躍る作品が少ないのです。

一昨年亡くなられた古谷蒼韻先生は「枠の中で乾坤を書き得たら 各人の脳裏のひらめきと悟入の境を表し得たら」言う言葉を60歳半ばで残されています。

書家も哲学を持って精進すべきと 心に強く銘じた言葉でした。生き方や考え方が如実に表れるのが書ですから。