
20日の日曜日、盆栽の山中蓬庵さんが正月飾りの「松竹梅」を届けてくれました。1986年に知り合って34年ですから、長い付き合いです。リビングに上がって貰って延々と二人のバカ談義が始まります。
彼は「盆栽バカ」、私は「書道バカ」。互いに自分の仕事だけを語るのですが、最近の人々の美意識が衰えてきたことに関しては一致します。
盆栽を育てるのに、畑に種を蒔く段階から始める方法の彼からすると、出来上がった盆栽を買ってきて展示会に出品するのは許せない。庭木の剪定も「早く安く」と急かされて、木々の生育を見定めて枝にハサミを入れる技を 認めない人が増えていると嘆く。

一方、私は日展などの公募展を見ても、新しい動きを見せない中堅の作家たちの仕事に失望を感じます。
50代 60代と言ったら何にでも挑戦出来る年齢。その時期を逃すと、挑戦しようと思っても 感性と体力がついてこない。今の働き手が良い仕事を 残さないと後輩に繋がらない。私達の若い頃、赤羽雲庭、手島右卿、日比野五鳳先生たちの作品を見て、憧れ 目標にしてきたものです。

世間も眼力の備わった人達が 少なくなりました。私の周りにも30年前には 辛口批評をしてくれた人達が多くいました。安易に書いて展示した作品を「こんな恥ずかしい作品は出すべきではない」叱責して下さった故「牛場康二社長」(三重県下に13のおもちゃ店を経営)。公募展に出すような書には「溪水の書は大嫌いだ」と言った元滋賀県立近代美術館の館長を勤めていた「栄楽徹さん」。商売上、依頼者の作品の品定めをすることはご法度の表具師「濱野武臣さん」は「この作品は松井さんの品位を落とす」と言って表装してくれなかったこともありました。
その何れもが 当初腹がたっても、すぐ後で自分の非力を猛反省。自分の勉強にどれほ役にたったかわかりません。
こんなバカ談義を 遠慮なく話せる幸せに感謝しているのです。
この一年間 私のブログを見て下さってありがとうございました。来年は80歳代の「集大成」のとき。コロナ禍も織り込んで、作家活動をしたいと思います。
皆様、意義のある新年でありますように お祈りいたします。
2020年(令和2年)12月21日(月)冬至 旧暦11月7日 NO171
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