昨日は父の日。「天声人語」を読んでホロッとしました。
「転勤の娘(こ)の背に春の陽は徹(とお)る良き友を得よ良き上司得よ」父親は昭和一桁生まれと言いますから、ご存命なら90代、感情を外に出すことを恥じとし、男子厨房に入らずの世代ですから、このお父さんは余り喋らず、家族のことをいつも考えている朴訥なお人だったと想像できます。
私は子供が授かった時、嫌われてもいいから、父親に徹しようと思いました。
情的な部分は母親に任せ、家族の平安を護るために、船長になろうと思ったのでした。
現代は「育メン」などと育児に男性が積極的に参加する時代ですから、賛成して貰えないことかも知れませんが、男親の本来の役目は「大局を見て、方向性を示す」ことだと思っています。男親は女親の真似は絶対できないし、女親は男の論理には及ばない。両親が足らないところを助け合いながら一つの家庭が成り立つのです。
昨日の天声人語子はピンチヒッターで、同僚に「君のお父さんの遺句集を以前貰ったが、その中に娘を思ういい歌がある。それについて書いてくれ」と頼まれたに違いない。
「転勤娘」は21年ぶりに遺句集を読み返して 父親の愛に気付いたのでしょう。文章の行間にそれを読み取れます。
父親の愛はすぐには発効しない、20年も30年もかかるもの。或いは永遠にわからないかも知れない。それでも気にかけず、ただひたすら家族の平安を護り抜く代償のない父親の勤めを果たしている。
幸い我が家には 娘から感謝のメールが届きました。厳しい父親だったのに 私の本意を理解してくれていたのだと、ホッとした父の日でした。
2021年(令和3年)6月21日(月)夏至 旧暦5月12日 NO183
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