隙間作品

この冬9回目の積雪、気温も最低。西の山の雪景は美しい。雪国の人達のご苦労を考えると甘い感慨です。仕事場の気温は3度、硯に磨り残した墨が凍っています。

この冬はズーとこんな状態が続いています。

大きな紙を拡げて書く気も起らず、墨ばかり磨っています。そんな時、昔の仲間から部屋の片隅に飾る小作品の数々を送ってくれました。それに触発されて書いたのが、ここに掲げる作品です。きれっぱしの色の紙を裏から貼って、自前の用紙を作り「書き表具」の要領で揮毫。色紙に書くような気軽さで書くのです。

曽って コーラスグループのダークダックスの「ゲタさん」(本名喜早哲さん)は他の3人との調和をとる為、隙間を埋める役目をしているのだと聞いて、書の作品にも必要な絶対要件だと学びました。ひとつの作品の中でも、全部の文字が張り切ってしまうと失敗します。何処か惚けた文字が入ることによってスッと引き締まる。

昨年催した個展でも この手法を用いて陳列しました。勝手に名付けた「隙間作品」を所々に架けて 全体の重苦しさを緩和したのです。

一般社会でも 能力の高い人ばかりのグループに「隙間人間」は必要です。

身近な自然も三寒四温を繰り返して春になる。「乾坤の正気 天地皆な春なり」

(鍾惺・天地自然の気が調和して皆な春となる」の中国の古語のように まもなく春がやって来ます。

 

 2022年(令和4年)2月18日(金)雨水 旧暦1月7日 NO199