言魂(ことだま)を探す

コロナで遅れていた恒例の「デカ書道」の小4の授業を行いました。このイベントの目的は 学校の授業では余りしない「アトリエ」の再現です。日頃 私が書作している姿を見せる。もうひとつは各児童がそれぞれの「言魂」を探すことです。

事前に担任の先生から相談された件の中に「好きな言葉を考えさせたら<ゲームで稼ぐ>と言うのがありますが、どうでしょうか?」とありました。私は「言葉の発想としては面白いが、賭博で稼いで生活するイメージを持ってしまうので、その児童と丁寧な議論が必要ではないか」と返事。どんな経緯があったか知りませんが、「言魂一覧表」の中に<ゲーム云々>の語句は消えていました。

ワンツーマンで揮毫の手伝いをしながら、「心を整える時はどんな時?」など

会話しながら、進める作業は濃厚な時間で魅力的です。断片的に喋った私の言葉も要約すれば、次のようなもの。

「言魂は 砂浜に混じる宝石のようなもの。読書や見聞から自分のアンテナに引っ掛かり、内なる魂と呼応して言葉になる。ひとつでも多くの言魂を見つけて、

それを足場にボルダリングのように 高みに登る。そこから見える景色は真新しい自分の世界です。言魂を探す努力を怠らなければ、更なる高みに誘ってくれます。そのようにして人間は成長するのです」

子供に話していることが 大人の我々に出来ているとは思いません。公募展など作品発表の際、語句や詩文の意味を吟味せず、字面の良いものだけを見つけて書いていては、書道の成長はありません。

 

 2022年(令和4年)5月21日(土)小満 旧暦4月21日 NO204