地元小学校6年生の「ろうけつ染め」も1月25日に迫ってきました。先日、
本番に先立って予備授業をしました。児童達が選んだ「言魂」を手本形式にして
布に書くコツを知って貰うためです。
「言魂」の説明をする時、最近私の出合った言葉を紹介しました。「習与性成」
(しゅうよせいせい・書経・太甲上)です。
誰もがみんな生まれつき持っている性質(資質)がある。「足が速い」「歌が上手い」「字が上手い」などです。それにプラスして物心ついてから付ける習慣や鍛錬によって、第二の天性(性格)が出来ると言う話ですが 私の少年時代のエピソードを交えてその経験を披露しました。
10歳頃の私は 何をさせても鈍くて不器用。その上、三日坊主で中途半端な性格の少年でした。そんな自分が嫌で何とかしなければと、思っていた時、中学校の先生が、本を読むことを勧めてくれたのです。今でも読書は苦手で、行きつ戻りつして読む程度の読解力ですが、「貴方のペースで読んだらいい、継続に意味がある」と励まされて、現在に至っています。同じころに日記も付け始めました。当時の日記に書かれた文字も乱雑で「書家で御座います」とは到底言えない程の悪筆です。それも嫌な事でしたが、書を習うきっかけになりました。
今や 家人に「習慣人間」と冷やかされますが、ストイックに習慣を身に付けてしまうと、どんな困難な事でも遂行してしまう威力があります。
道元禅師の「正法眼蔵随聞記」の中にある「行持」(行い続ける)をアトリエの庵号に借用したのも、確固とした目標にしたかったからです。
「習与性成」はどのように解読したらいいのか、難しいですが、特に「与」の解釈に困ります。白居易(白楽天)の中に「習以性成」があったり、「習成如性」と類語も出て来ますから、ここでは「習慣が身につくと第二の天性になる」と言う説明に納得したいと思います。
「習慣」と言えば、「良い習慣」と考えがちですが、「悪い習慣」もあります。
「嘘をつく」「人の悪口を言う」「失敗を人の性にする」「周囲に甘える」など、これが習い性になって嫌な人間になる例もあります。「習与性成」の解釈次第で 人間は良くも悪くもなります。
2023年(令和5年)1月20日(金)大寒 旧暦12月29日 NO220
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