週刊朝日休刊

101年間続いた「週刊朝日」も遂に休刊になりました。活字離れから街の本屋がなくなり、仕方ないのかも知れません。最近の私は熱心な「週刊朝日」の読者ではありませんでしたが、20歳から30歳までの間は必読書のひとつでした。

1960年から1970年の世情は安保一色で、若い私達はそんな社会に翻弄されている感じでした。そのころの私は高校時代に参加した研究会のテキストが平泉澄教授(ひらいずみきよし・国史学者1895~1984)の論文で、その機関誌を購読していましたが、国鉄に入社してからは労働組合運動の渦の中に放り込まれました。つまり、二十歳の私の中に右翼と左翼の思想が混在していて、全く違う思想の狭間でのたうちまわるような苦しさを味わいました。

自分の考えをしっかりと持たなければ流されてしまう。混迷する環境の中で正確な情報を得るには、より偏りがない情報誌が必要でした。「文藝春秋」「朝日ジャーナル」(1992年廃刊)に加えて「週刊朝日」がそうです。

「何が本当か」と言う探求心は書道の世界に入っても消えていません。

「週刊朝日」の中で印象的な記事がありました。開高健の「ベトナム戦争」です。「私の頭上をビュンビュン砲弾が飛んでいる・・・」と綴るベトナム戦記は夢中になって読みました。これが後、日本での「べ平連」(ベトナムに平和を市民連合・1966年~1974年)の誕生に繋がったように思っています。

アメリカではマクナマラ国防長官の嘘を暴くかのように 元国防総省職員ダニエル・エルズバークが機密書をマスコミに暴露して アメリカ国内の戦争反対が高まり、ベトナム戦争は終結しました。

最終号を開いたら「女子大学生表紙」が目に留まりました。

それから40年以上経ちますから、女子大生のその後の人生も様々ですが、1989・9・15号の「山本志保」さんは

現在のNHKアナウンサー。毎週土曜日の「石丸謙二郎の山カフェ」にアシスタントで出ておられます。落ち着いた低音の美声の持ち主はどんな人だろうと恋焦がれていましたが、予想通りの美しい人で満足でした。

 

 2023年(令和5年)6月6日(火)芒種 旧暦4月18日 NO229